私の家には小さな本棚がいくつもあります。
家族で使っている本棚もあれば、私専用の物もあります。
私の家族は特別本が好きというわけではわりません。私を除き・・・。
私は本が大好きです。
小さなころは全く好きではありませんでした。
おそらく自分の居場所が実は小さい頃ほど確立されたものであったのかもしれません。
それが空虚なものだったとしても。
大人になってからは、やたら本を読みます。
小説やお料理の本、エッセイ、
医療関係の職に就いていることもあり、医学書などもよく読みます。
先日、ふと家族の本棚へ足が向きました。
本棚を眺めていると、おそらく母が買った教育の本と言いますか、食育に関する本を見つけました。
私の手は自然とそれに伸び、ページを開くと所々線が引いてあります。
きっと私たち家族を守るため、育てるために愛読していたのだと思うと、
何とも不思議で温かい気持ちになりました。約20年以上前に書かれた本ですが、
書いてある内容はとても理に適っていて、時代は変われど、
人はそんなには変わらないのでしょうか。
そして少しタイムスリップしたかのように、この本を手に取る母が目に浮かびました。
大人になってからは自分の居場所に不満を抱くこともあり、
本を手にすることで、特に小説などは自分を全く別の世界へ誘ってくれるような感覚になります。
今の自分と重ね合わせたり、天秤にかけたり、はたまた全くの別人になれるような・・・。
そういった気持ちはみんな味わっているのでしょうか。
私の家にある本の数だけひとつひとつに物語があると思うと、少しうきうきしてしまいます。