私が初めて本を読んだのは小学校4年生の頃のことでした。
1つの教室に本が常時20冊ほど置いてある学校だったのですが、それまでの私は1冊の本も手に取ることもなく、どんな本が置いてあるのかも全く知らずに生活していました。
ある日お昼休みが終わり、掃除の時間になったので私はぞうきんでランドセルが締まってある棚や本棚を拭くことにしました。本棚を拭き始めた時ふと私の目に「怪人二十面相」という漢字が目に入りました。そこで初めて本を手に取ったのです。「怪人っておばけのこと?」とその時怖い話を聞くのが大好きだった私は何気なくその本を開きました。1ページ、2ページ、最初は何のことなのかどんな話なのか全く分からず「なんだ、これ」というような気持ちでページを捲っていたのですが気づけば掃除の時間が終わっているではありませんか。いつの間にか物語に入り込んでしまって、時間が経つのをすっかり忘れていたのです。それから私は早く物語の続きが見たくて見たくて、読み終えるまでの1か月間、毎朝誰よりも早く登校していたのを覚えています。この本との出会いがきっかけで私は日常的に小説を読むようになりました。自分の好きな時にいつでも望む世界に連れていってくれる小説。見たことのない景色を見させてくれる、味わったことのとない感情を引き出してくれる、そんな小説がとても好きで私の日常には欠かせません。