読書には娯楽としての読書と知識を得るための読書がある。特に大人になるにつれ、自分の抱えている悩みをどうにかしようとしたときに本を読む機会が増えてきた。
基礎的なものから読み始めて、より深く知識を得ようと読み進めていく。そうしていくうちに本はどんどん本棚に増えていく。
あるときふっと、本棚を眺めると、あの時はこんなことで悩んでいたなとか、ずいぶん知識が増えたなとか物思いにふけったりする。そうして本棚を眺めるたびに自分が成長していることを実感し、少なくともあの頃より変わってきていると感じることができる。そう感じるたびに、この本棚には自分の世界が凝縮されていると実感でき、手を伸ばせばいつでもその知識を得られるという安心感は、本をそばに置くうえでの一番の幸せだと思う。これは、本を物としてではなく、仲間として感じられる瞬間でもある。この仲間として本をそばに置く楽しみは、電子書籍ではなかなか味わえるものではない。
ただ、本棚を見られると自分の悩みが露呈してしまうという悩みは、まだ解決できそうにもない。